第90回国際協同組合デー記念集会を開催
「日本の協同組合の起源と二宮尊徳について」講演
7月11日(水)県水産会館6階大ホールにて鹿児島県協同組合協議会(KJC)の主催の第90回国際協同組合デー記念集会が行われ、各団体から約250名の参加がありました。〈※KJC:鹿児島県におけるJA(農協)・生協・JF(漁協)・森林組合の連絡機関です。〉
開会のあいさつの後、東日本震災にたいして参加者全員で黙とうを行い、それぞれの連帯からの挨拶がありました。
国際協同組合年の今回の記念集会は、国際二宮尊徳思想学会、常務理事中桐万里子さんをお招きし「日本の協同組合の起源と二宮尊徳について」講演をいただきました。
中桐万里子さんは1974年東京都生まれ。二宮金次郎(尊徳)から7代目の子孫にあたり、祖母から聞いたという私たちが知らなかった金次郎の人柄や実践の数々について熱く語ってくださいました。
二宮金次郎と聞けば誰もがイメージする、薪を背負い本を読む少年の銅像です。しかし、金次郎の遺言は、「名を残さず、私の行いを後世まで残せ」ということだったそうです。
二宮金次郎が生きた時代は、自然災害が多く人々が大変苦しんだ時代。その中で、今までのマニュアルや常識では生きられないことを知り、田畑の“実り”にこだわり、「実践・行ない」こそが大事だと考え、「半分従い、半分逆らう」の水車理論で600以上の村や畑を復活させました。ある年、田植えを終えた頃に、金次郎は茄子の漬け物を口にして、「秋茄子の味だ」と感じます。「これから夏のはずが、おかしい」と冷夏の到来を予感しました。金次郎は農民を集め米の苗をヒエや粟の、寒さに強い作物の苗に植え替えさせました。そして予想通り冷夏の年となり、そこから天保の大飢饉がはじまりました。しかし、金次郎の村は、食料に困ることなく農民を飢饉から救うことができました。
それが「半分逆らい半分従う」という理論。「従う」とは、「よく見ること、知ること」で、金次郎は様々な自然環境の変化を観察し、その一つに茄子の味がありました。「逆らう」とは工夫すること実践すること、対策を立てることです。冷夏を予想し、その対策として寒さに強い作物を作る。この理論を農民たちに「水車のシステム」を使って説いていきました。現代にも通じる、人と人、人と自然や自分と相手とのよりよく生きるための知恵でした。
また実践につながるテイクアンドギブの報徳ファンドの理論をとき、借金に苦しむ農民に無利子無利息でお金を貸し、借金苦からも農民たちを救っていきました。返済し終えたところで、その喜びを次の人に形で表しなさい、ギブの人になること、次の担い手になることをさとします。与えることこそ人の喜びではないか、と結ばれました。
金次郎の言葉や実践は協同組合や現代の私達にも通じる知恵として、紹介されました。
集会の最後に、ICAメッセージとKJC宣言文が採択され、協同組合としてみんなで頑張っていこうと締めくくり、会は終了しました。
山田副知事が鹿児島県知事の祝辞を代読
講演する中桐万里子さん